Complete text -- "リーダー研修"

23 June

リーダー研修


月曜日、復活の月曜日である。昨日の日曜日は一日中、眠ったり起きたりを繰り返していた。ざーざーと雨が降っていたし、泥の中で泳いだあとのように疲れていたからだ。なぜそんなに疲れていたかというと、金曜日と土曜日の1泊2日でリーダー研修なるものにつき合っていたからだ。

リーダー研修から帰って一晩寝て、日曜日にはそのことを材料にブログを書く予定であった。さて書こうかと、雨を眺めながらパソコンに向かうのだが、頭の中はからっぽである。何も出てこない。何故だろう。理由は簡単である。書くつもりでリーダー研修の1泊2日を過ごさなかったからだ。そこで起こった出来事を書くつもりで見ていなかったからだ。

昔、絵の描き方を尋ねたことがある。すると、「見た通りに描くのよ」と教えられた。正論である。では、どのように文章を書けばよいのか。見た通りに、感じた通りに、考えた通りに、という答えになるだろう。書けないのは見ていないからだし、感じていないからだし、考えていないからである。

リーダー研修は自分にって初めてのイベントなので、きっと何か書けると思い込んでいたのだ。文章が書けることと、出来事のイベント性には関連はない。1人の人間の死は文章に出来ないが、100人死ねば文章に出来るというのと同じくらい愚かな勘違いである。わかっていたのに、自ら落とし穴にはまってしまった。

そこで今回はダメな文章の書き方をしてみる。(かっこ内にはダメな思考の流れを書いておこう)

(こういう場合はまず、客観的に状況を説明する)
金曜日、土曜日と1泊2日で道志村にキャンプに行ってきた。といっても遊びではない。付き合いのある会社のリーダー研修に講師として参加したのだ。朝は4時過ぎに起き、6時前に待ち合わせをして、10時の研修開始に間に合うように車を走らせた。

天気は曇りから弱い雨。そして強い雨、また弱い雨、強い雨とそんな繰り返しだった。木々の緑が雨に打たれる。その雨音が川の流れの音と重なる。そんな中、総勢13名のリーダー候補生が5人、4人、4人の3つのグループに分かれて研修を行った。

(何となく雰囲気は伝えられている。次は研修内容をおおまかに説明する)
研修内容はいたってシンプルなものだ。蛇口のみが写った写真をヒントに自分のテントサイトを見つける。そしてテントを設営する。さらに課題となっている夕食を作る。全員がキャンプの経験はなく、料理に関しても得意といえるほどの人間はいないようだ。この3つの課題を11時から19時までの間にこなさなければならない。

(もう少し細かく具体的に研修内容を説明しよう)
たったこれだけのことだが思ったより大変である。キャンプ場は広く、蛇口のみの写真からサイトを見つけるのにけっこう時間がかかる。すぐに見つかったグループもあれば、1時間近くかかったグループもある。サイトが見つかったらテント設営係と食材調達係に別れる。テント設営係は説明書を片手にテントを設営し、食材調達係は車で往復2時間かけて食材の調達である。

3つのグループは400メートル圏内に点在している。僕の仕事は各グループの状態のチェックである。気分はトレイルランである。意味もなく山道をランニングしてサイト間を行ったり来たりする。テントを設営したら薪拾いとかまど作りである。料理を作るという課題には、火とかまどの確保も入っているのだ。


(この辺りから、説明に主観的な印象を混ぜていく)
どのグループも試行錯誤している。経験がないので正しさの基準がつかめないのである。テントを設営する場所も雨が降って水たまりが出来た時のことを想定していないし、薪もすごく細い枝ばかり集めていたり、小さな石を積み上げたかまども風の通り道が確保されていなかったりする。

それでもテントがきちんとでき上がると「やったー」と大きな喜びの声がしたり、かまど作りのための石を「おもてぇー」とか言いながらも楽しそうに運んでいたり、やたらと薪をたくさん集めては達成感を味わったりと、だんだんと表情が良くなってくる。会社で仕事をしている時よりも表情が豊かになっている。

そんなことをしていると、あっという間に時間がたつ。早いグループで2時過ぎから、遅いグルーブで4時前から調理が始まる。Aチームが「豚の角煮」と「ほうとう」、Bチームが「サムゲタン」と「ミネストローネ」、Cチームが「ビーフシチュー」と「ロールキャベツ」。その他にどのチームもご飯を炊かねばならない。

日も暮れるころ、どのチームも何とか料理を完成する。立派なものである。講師としてすべての料理を食べることになる。6種類もあるのでそれぞれ「少しずつ」とは頼むのだが、みんなたくさん盛りつけてくれる。その表情がとても生き生きしているのでありがたく頂く。

食事の後は、リーダー候補者達と役員との話し合いの時間である。僕が司会進行を務める。司会の特権を利用して、これはある種のイニシエーションの儀式であると意味不明な話をし、みんなを異空間に誘おうとする。暗闇の中、ランタンの灯の下でリーダー候補者たちと役員が真剣にやり取りしている。そこには普段は見られない一体感がある。それを見て、この研修は成功だなと思った。

(あとは何らかの話題を一般論的に拡大してまとめる)
参加して思ったのは、火の管理の重要さであった。悪天候のせいで大変だったとは思うが、やはり火の管理の意識は全般的に低かったような気がする。きちんとした火力を維持するのは大変そうだった。天候のせいで火はつき難い。だから火がつくと喜んで安心する。そして目を離して他の用事をする。その間に火力が落ちている。あわてて火のケアをする。そんな繰り返しだ。

私たちの日常で火の管理といえば、火事を出さないことである。ガスレンジであれば、カチャッとスイッチを入れて、あとはつまみを調節すれば火力は安定している。おそらくそんな感覚が無意識にまですり込まれているのだろう。1度火が着けば大丈夫だと思って、目を離してしまうのだ。

焚き火をしてみれば分かることだが、火は常に変化しているし表情もある。火の中心はどこにあるのか、こっちの炎をどこへ導くのか、次にどの薪に火を移すのか、そんなことを常に考えていなければ火のコントロールなど出来ない。そして重要なのは、火の状態がよい時にこそ、それ状態を維持するために火をよく見ていなければならないのだ。良い状態のあとは悪い状態に向かうというのが焚き火の常である。

(そして強引にまとめる)
ちょっと考えると、これはキャンプでの火のコントロールだけではない。すべてのことに当てはまる。機械化、システム化、制度化によってこの社会は一見、安定しているように見える。しかし実際はかなり不安定なものである。だからこそ、安定した状態の時に浮かれていないで、きちんとその先を見ることが必要なのである。おそらく、今回のリーダー研修に参加したメンバーもそのことをどこかでつかんだことだろうと思う。有意義な1泊2日であった。

何というのか、ひどい文章である。PowerPointでプレゼンテーションをやられた時のような気分である。適当に材料を用意して、ひな形に流し込めば出来上がりという感じである。正直、書きながらほとんど考えていない。考えていないということは、裏を返せばこれが今の自分が身体化できている技術ということになる。それでも楽に書けた分、妙な爽快さはある。不思議なものだ。

(ウルトラマラソン準備完了まであと2867km)


23:33:47 | tonbi | |
Comments

Hiroyuki wrote:

お疲れ様でした。

そうなんだよね。
イベントに何かに期待して参加しても表現できるかどうかって別モノだよね。

さて、みんなのレポートを楽しみにしましょう。
06/24/08 11:54:10
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